このキットでいちばんの難所とも言える、コクピットのカウルとボンネットの工作です。最初に両側のサイドパネルの上辺に1.2mm幅の洋白帯金を半田付けします。
せっかく彫ったルーバーをダメにしたくないので、使うのは融点165℃の低温はんだ。100円ショップで売っていたワイヤークリップはテンションが弱めなので、このような仮止めには重宝します。
最近買って良かった工具のひとつが、スジボリ堂のダンモ(0.3/0.6mm)。このような長いエッジの段落ちが楽々作れます。
メタルの場合はある程度彫ると画像のように細かい縦筋が生じて削りにくくなるので、角ヤスリで表面を均してからまた彫り進めるようにしています。
実際にエンジンを乗せてエキパイも付けて、出口周囲のクリアランスも確認しておきましょう。
コクピットカウルの背中側は華奢で変形しやすく、リアのガソリンタンクとサブフレームに合っていなかったので、瞬着で真鍮ブロックに仮止めした状態でやんわり力を加えて直角に戻します。
サブフレームはすでに接着済みですが、メタルなので多少の曲げ戻しは可能。カウルとタンクの間に隙間が最小限になるように調整しました。
コクピットカウルの位置が定まったところでボンネットを瞬着で仮止めし、面がなめらかに繋がるように鉄やすりでガリガリ削ります。
細目の甲丸とスティックやすりで表面を整え、削り落としてしまったインテークを0.15mmの真鍮板を被せて復元しましょう。
最初は大きめに作って、半日かけて様子を見ながら適正サイズまで削りました。カウル側は真鍮片の輪郭に沿ってモーターツールで段落ちを彫り、エッジが沈み込むように瞬間接着剤で固定します。
サイドミラーもこの時点で鏡面の彫り下げと位置確認まで済ませておけば、「あの時やっといて良かった」と、過去の自分に感謝する日がきっと来るでしょう。