God Dwells in Small Things

モールトンの1/6フィギュア- ブレーキ/シフトワイヤー追加工作

アレックスモールトンの1/6スケールの”フィギュア”です。2019年頃に発売されたミニチュアですが、ブレーキワイヤーとシフトケーブルが省略されているので付け足してほしいとのご要望。「え〜、こういうのは下手に手を加えると価値が下がっちゃうんじゃないの?」
複雑な形状のトラスフレームや凝った作りのサスペンションは3Dプリントのレジン製なので、作業中に手が滑って落としたり倒したりなんてことがないように!肝に銘じておきます。
ブレーキラインに使うのは、見た目のバランスからタミヤの0.8mm径のパイピングケーブル。中には0.1mmくらいの芯線が束になって通っているので、5mmほど引っぱり出して反対側を中空状態にしたものを2本用意します。
その中空部分をプライヤーで平らに潰し、黒い瞬間接着剤でさくらんぼ状態にまとめたものを、ハンドル下のバーテープの巻き終わり部分に開けた穴に差し込んで固定しました。
長いほうのケーブルはフロントブレーキへ、短いほうはヘッドチューブ後方のフレームに追加するガイドパイプに達する長さでカットしておきます。
そのガイドパイプですが、外径1.2mm内径0.8mmの真鍮パイプに0.4mm洋白線で足をつけたものを用意し、フレーム側にはドリルで0.4mmの穴を開けて差し込み、しっかり固定できるようにしました。
ガイドパイプから後方に伸びるワイヤーには、艦船模型用に販売されている鋼線を使いますが、金属用の切れ味のいいニッパー(例えば過去に何度か紹介しているN-57とか)でなければ、取り扱いには苦労すると思います。
左側のガイドパイプはフロントディレイラー(ペダル側の変速機)とリアブレーキの2系統が必要なので、1.2mmのパイプを2本、双眼鏡のように並べて半田付けしたものを用意し、左のハンドル下から伸びたケーブル2本を固定しました。
フレーム中央の太いパイプの後方には、ケーブルを中継するためのガイドがあるので、0.8mmの真鍮パイプを半田メッキしたもので再現。カットした鋼線の先端も半田でまとめておくと、ほつれずパイプの中に通しやすくなります。
フレームとシートパイプの溶接部にも、リアブレーキ用のガイドがあって、ここも0.4mmの足をつけた真鍮パイプを差し込んで再現。ガイドから後ろはタミヤの黒ケーブルを継ぎ、キャリパーまで伸ばして固定しました。
リアサスのスイングアーム?にはガイドパイプらしきモールドがあったので、0.4mmのドリルで穴を開け、鋼線を差し込んで固定。変速機のアームには手持ちの六角ユニオンでサイズの合いそうなものをイモ付けし、短く切った黒ケーブルを差し込めば完成です。
依頼を受けた時点では「ケーブルを張るくらいなら1日で出来るでしょ」とタカを括っていたんですが、作業前のリサーチで調べれば調べるほど、「自転車の世界って奥が深い..」と自らの甘さを反省。気がつけばこれまで培ってきた技法を総動員し、バチバチの本気で作り上げました。

1/43のメタル・レジンキットを中心に、模型製作のテクニックをわかりやすく紹介しています。
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