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アカデミーの1/72ファントム製作記-徹頭徹尾その4

アカデミーのF4Jファントムのテールの塗装はチャンクダウンで…『チャンクダウン』とは最近よく耳にする言葉ですが、「ハードルが高い!」と躊躇している課題を克服したい時、その課題をこれ以上ないくらいに簡単なものに切り分け、ひとつずつ順番にクリアしていく手法のことだそうです。
僕にとってこの金属部分の塗装がまさに「ハードル高!」で、この熱で焼けた感じをどうすれば再現できるか? 考えてもなかなか答えは見つからず、1週間ほど手が止まって身動きがとれませんでした。
模型誌に掲載されたファントムの作例を見ても、この部分の塗り方に言及した記事は少なくて、いちばん参考になったのはホビージャパン2017年4月号で造形村のF-4Jの作例を担当された方が、自身のmixi日記で公開していた製作記。そのハウツー画像とEvernoteにクリップした実物の画像とを見比べながら、「どうすれば簡単に塗れるだろう?」としつこく考え続けていました。
まぁ、頭で考えるだけではいつまでたっても結論は出ないので、実際に手を動かしながら、その場のひらめきを信じて前に進むことにします。まず最初にクレオスのシルバーをザラつきが出ないように薄めに吹き重ね、金属塗装のベースを作りました。
続いて垂直方向の縞模様を再現するため、マスキングテープを細く切ったものを貼っていきます。これってかなり面倒な作業ですが、技術を持たない凡人が筆でピンストライプを引くのは難しいので、愚直にマスキングするしか手はありません。
テープの細さや隙間の感覚は、あえて均等に揃えずランダムに貼っていきました。ちなみに実機は外板の表面が細かい波板状になっており、その凹凸が光を反射して縞模様に見えるようです。
集中力のある人なら1時間もあれば終わる作業ですが、僕は3日かかりました。やれやれです(笑) マスキングテープの浮きや重なりをチェックした後、ノズルから遠い部分にはクリアーブラウン、近いほうにはスモークブラックを吹きます。
いざテープを剥がしてみると、3日間の苦労の割には不本意な結果というか、自然にはほど遠い作為的な縞模様です。もちろんこのままではダメなので、ここから試行錯誤の開始です。まずは尾翼の無塗装部分でイイ感じだったこの塗料を試してみましょう。
Mr.ウェザリングカラーのマルチブラックをエアブラシで薄く2-3回吹き重ねてから、専用のうすめ液を含ませた筆で、表面の塗膜をランダムに拭き取ってみましたが..。
それでもなお、黒と茶色のラインが目立ちすぎるように感じたので、シルバーにスモークグレーを混ぜたものを全体に重ね吹きし、縞模様のコントラストを抑え込みました。これでベースとなる模様が完成したので、あとは少しずつ色を足していけばOK。
実機の写真でもその色合いは様々ですが、大まかにパネルの前後で焼け色が異なるものが多いようです。今回はテールの後ろ半分の側面にクリアーイエローを吹き、その間を埋めるようにクリアーオレンジをスポットで吹きました。
テールの前半分は黒っぽい色合いですが、その中でも後ろ2枚のパネルは茶味が強いので、自作のクリアーブラウン(スモーク+オレンジ+レッドブラウン)を縞模様に重なるように線吹きします。
前方3枚のパネルは緑がかって見えたので、クリアーグリーンにスモークとフラットブラックを足したものを、同じく模様に沿って吹き付けました。
最後に全体のトーンを揃える目的で、フラットクリアーにメタルカラーのアイアンを混ぜ、溶剤でかなり薄めたものを遠目から吹いたら、思いのほか重厚感が出てラッキー! あと残っているジェットノズルのパーツも、こんな感じの塗装ができれば良いなと思っています。

Comments & Trackbacks

  • コメント ( 2 )
  • トラックバック ( 0 )
  1. 非常に実感的で手間掛けただけありますねー
    なんとも有機物な佇まいが良いです。

    • ファントムは何機か作りたいので、できるだけ再現性のある塗り方でやってみました。

      静岡での展示方法は、脚をつけずに飛行状態を考えています。

1/43のメタル・レジンキットを中心に、模型製作のテクニックをわかりやすく紹介しています。
Welcome to my site! The focus here is representing 1/43 hand-built model cars.
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